理事長所信
第71代理事長 長嶋 泰生
スローガン
心機一進~機会と出会い、成長の一年へ~
理事長所信
はじめに
2023年度、長きにわたり続いた新型コロナウイルス感染症による行動制限もなくなり、通常の生活様式を取り戻すと共に各地青年会議所においても従来通りの活動を行うことが可能になりました。そのような中で理事長職を一年間務め、多くの同志と出会い、意見を交わし、交流を深める中で様々な価値観に触れ、多くのことを学ばせていただきました。そして改めてJAYCEEの責務、我々が目指すこと、果たすべき役割等、様々なことを感じながら仲間と共に活動して参りました。
今改めて思うことは、この青年会議所は40歳までの年限があり、我々の日々の活動はまちと自らの未来へと繋がっていかなければならない、そのために私自身も含めメンバー全員が成長を目指し、自己研鑽を重ねていかなければならないということです。
当会議所は来年、創立70周年を迎えます。諸先輩方が紡いできた名寄青年会議所の歴史の重さをしっかりと受け止めると共に、未来に向けて我々がなすべきことを考え、会員一同取り組んで参ります。そして、今後も当会が活動を継続し、このまちにとって真に必要な団体であり続けるために活動して参る所存です。
機会と出会いを、自らの心の成長へ
私は入会以来、様々な役職での一年を過ごしてきましたが「成功した」と自負できる年は一度たりともありませんでした。入会当初は、懸命に行動しても厳しい言葉をかけられ、なぜ今活動をしているのか分からなくなる時もありました。しかし、苦労の末に事業を終え、失敗も多々あった一年を終え、最後に感謝や労いの言葉を掛けてくださった方々がたくさんおりました。普段、我々が仕事等で求められるのは成果であり、成果が評価されるべきという考えに囚われていた私は、十分な結果に示せていない自分になぜそのように接してもらえるのか当時は大変不思議でした。
この青年会議所における諸活動は、我々にとって普段の仕事や生活とは異なる特殊な機会といえるかもしれません。ただし、その根底にあるもの、活動を通じて得られるものは我々が幼いころから“当たり前”に持っていた内面的な部分、すなわち未知への興味や他者への思いやり、真剣に取り組む中での楽しさや人と繋がることへの喜び等であると考えます。大人になり様々な経験を積み重ねるうちに私自身どこか諦めに近いものを抱き、そのような気持ちを忘れていた中で、JC活動を通じて前向きな心を呼び起こされる経験が幾度もありました。それは新たな機会や人との出会いがなければ得られなかった経験であり、そのような経験の積み重ねが心を成長させ、JCを問わず様々な機会に出会った時に活きていると感じます。
40歳を過ぎてJCを卒業する時、私には何が残るか、そしてこれからを担うメンバーには何が残るか。まちづくりや自身の成長に向けて行動できる人間を増やしていけるよう、一つ一つの機会と出会いを大切にし、前向きな意志と当たり前の良心を持って活動して参ります。
これからのまちに求められるものは何か
名寄青年会議所は1955年、まちの未来を憂い、青年としての責務を果たすべく熱い想いを抱いた3名の若者によって設立されました。戦後間もない当時と比べ、現在我々はこのまちの恵まれた生活環境の中で働き、大きな不自由なく生活をしております。しかし、地域を想う志を持った青年が集う団体としてまちの現状を見据え、未来へ向けて活動をしていることは一貫して変わらないはずです。
現在、コロナ禍以前からの産業の停滞、若者世代の人口流出・少子高齢化のさらなる進行等、まちを取り巻く課題は変わらずに続いておりますが、名寄市としては2023年度より総合計画(第2次)後期基本計画が始まり、経済元気化、冬季スポーツ拠点化等を重点プロジェクトに掲げ、現在、物流拠点化やゼロカーボンシティの実現に向けた再生可能エネルギーの推進等、持続可能なまちづくりを目指した取り組みを続けています。
青年会議所としてはまちづくりの当事者として、青年らしく熱意を持ってまちの課題解決に向き合っていかなければなりません。まちの現状を踏まえ、潮流を読み、明るい未来へ向けた活動ビジョンを作ることを目指して参ります。
仲間の輪を広げる意義
2023年度、当会の創立65周年中長期ビジョンの一つ「まちの魅力の再考・発見・発信」を目的とし、市民の協力を得ながら名寄市内商店街をフィールドとした青少年系事業を実施いたしました。また、私個人としても昨年度は理事長の立場で多くの方と会い、このまちへの想いや考えを聞き、まちの現状の一端を知る機会をいただきました。
それらの機会を通じて感じたのは、青年会議所は市民と地域とを繋ぎ、あらゆる分野で連携・協働のきっかけを作り、架け橋となれる団体であるということです。そして、各々がまちへ貢献するためのビジョンを持ち、それぞれの立場や能力を最大限活かし、青年会議所活動に限らずそのような取り組みを続けることでまちづくりへと繋がる運動を起こせるものと考えます。
そして大きな運動を起こすためには、活動に共感する仲間が必要です。昨年度、このまちに住み暮らし、様々な立場で「今後のため、まちのために何かがしたい」と考える方々に会いました。そのような多様な考えを持つ仲間の輪を広げることで団体として多角的な視点を持つことができ、価値観を受け入れることで互いの研鑽にも繋がります。
また、個々のメンバーが自信を持って「あなたと共に活動をしたい」と言うために、まずは我々が「あなたと活動をしたい」と思われる人財となる必要があります。会員個人としての資質向上と会員拡大の両輪に今年度はより一層取り組み、仲間の輪を広げて参る所存です。
青年団体としてのあるべき姿とは
2020年度、日本青年会議所では「組織改革」を最重要課題として打ち出し、会員減少が予想される将来も持続していける仕組みづくりを提唱しました。また、北海道地区協議会においてもそのような課題を見据え、組織体制の見直しが検討されています。
当会の創立65周年中長期ビジョンでも「5年後も地域に必要とされる組織であるための時代に合った組織づくり」を提唱しており、メンバー個々が様々な業種や立場にある中、各役職の責任を全うできるようにするためには、スムーズな情報伝達や相互のフォローに努める必要があり、時に組織の在り方を見直すことも求められます。また、「多様性」に重きが置かれている近年、個々の価値観の尊重が重要視されていることは言うまでもありません。しかし、我々は青年を冠した団体として、目標へ向けて“努力”することを忘れてはならず、“努力”を差し置いて組織やシステムを言い訳にするようなことはあってはなりません。日々の活動の中で、困難なことへ時には泥臭く立ち向かう場面もあるかもしれませんが、まず自分自身が“努力”すること、その上で仲間の力を借りて成し遂げることが青年としてあるべき姿ではないでしょうか。そしてそのような“努力”がなければ成長、つまり自分の内面での良い変化は決して起こり得ないと考えます。個々のメンバーが次の一歩を踏み出せるよう、そして青年会議所活動に掛ける時間が有意義なものとなり、かけがえのない経験となるよう、互いを勇気づけ合い、“努力”をして行ける組織を目指して参ります。
むすびに 互いを尊重し合おう
私たちは社会人として各々が仕事を抱え、貴重な時間を費やしてJC活動に励んでいます。そのような中でそれぞれが仕事・家庭・JCを円滑に行うためには、個々の立場を尊重し思いやる想像力と計画性が何より重要です。そして、人を勇気づけられるのは人だけであり、同じJAYCEEとして互いに手を差し伸べ合うことも忘れてはなりません。
今、我々がJC活動をしている目的は何でしょうか。名寄青年会議所へ入会した理由は個々に様々であると思いますが、責任のある一人の大人として自らの意志でJC活動を続けている以上、目的が必ずあるはずです。そして、それを成し遂げるためには他者の理解を得ること、協力し合うことが不可欠です。また、当たり前のように活動を支えてくれる家族や職場の方々、快く協力してくださる諸先輩や地域の皆さまへの感謝の気持ちも忘れてはなりません。
この一年という短い時間、漫然と過ごしても、惜しまず努力を尽くしてもあっという間に終わるでしょう。しかし、今置かれた立場で今の仲間と過ごす時間に同じ機会は決してありません。せっかくの一年、新たな可能性を見出し、自らの成長に繋げるために多くの機会、そして人との出会いを大切にし、互いを尊重し合いながらより良い行動を続けて行きましょう。
青年会議所最後の年、改めて一年間、精一杯の努力を続けながら皆さまと共に歩んで参ります。どうぞよろしくお願いします。